超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2023.1.23

■「吉野林業と優良材」に学ぶ (65) 
植付方法①

―江戸時代における育林技術-

 

植付方法については「広益国産考」には挿絵入りで、かなり詳細に記述している。

「先手桶に水を入れて持行き、水のこぼれざるよう高き方へ杭を打ち、其杭より縄にて手桶の手にゆひ付き水のかへらぬ様いたし置き扨(さて)其桶の水に其苗の根をつけ置き、十本づつも左の手に持ち右の手にて土に手鍬を打ち込み、前へ引き其土の明ひたる所へ苗の根をさし入れ、手鍬のみねをもて、土を向ふへたたき付けて置きおきすべし、もっとも片さがりは上より下へうえすさるべし」(図21参照)
川上村の吉野林業と土倉庄三郎
尚、杉の造林地は「湿地の事なれば植たる後より水をかくることもなし」と灌水(苗木に水を与えること)の必要はないと説明している。

また、植付の深浅に関して「又植うるに土を念入りにほりて植えたるは却りて付きかぬるよしにて吉野郡にては皆かくのごとくして植るなり」とあり、原則としてはいわゆる「一鍬植」の方法をとり、深堀り丁寧植はかえって活着し難いと注意している。

大蔵永常の見聞の限りにおいてはそのような慣習があったことは事実であろうが、他地方の記録として植穴は広く大きく掘り、適度の深さに植えるように指導されていたことと考え合わせ、必ずしも「一鍬植」だけが採用されていたわけでもなかったと考える。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎

 

参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」

 

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「吉野林業全書」では植付について、下記のように記述があります。丁寧に植えるように指示があるものの、効率を求めた「一鍬植」も並行して行われていたようです。

■「吉野林業全書」に学ぶ (31) 山地への杉・桧植付けとその季節 ①

■「吉野林業全書」に学ぶ (32) 山地への杉・桧植付けとその季節 ②

■「吉野林業全書」に学ぶ (33) 山地への杉・桧植付けとその季節 ③


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