2023.10.1
■「吉野林業と優良材」に学ぶ (83)
種子及び苗木④
―明治時代における育林技術-
苗木は翌春に一回目の床替として、他の畑に一坪当たり200~300本の割合で移植する。移植後は施肥、日覆いを行い、枯損を防ぐ。
続いて、翌年三月下旬に苗の高さが八、九寸(約24~27㎝)のものを他の畑に坪当たり130本あまりを移植し、少しずつ濃い下肥を施す。そして、翌年三月の3年目にして苗の高さ一尺七、八寸(約51.5~54.5㎝)のものをもって山行き苗とする。
桧はさらに一回床替を行い、満4年をもって一尺七、八寸となる。すなわち、床替は杉2回、桧3回を通例とする。
参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」
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吉野林業においては、1ヘクタール(100m×100m)に対して、10,000本から12,000本の苗を植える「密植」を行います。(他産地では同面積に2,000本~3,000本)
上記の記述では坪当たりの本数で表現されているため、全体像を捉えづらいのですが、「吉野林業全書」には「密植」の規模とリンクして3~4万本の苗の移植について解説されています。
吉野林業全書に学ぶ(24)/杉床苗の抜き取りと仕分け
吉野林業全書に学ぶ(25)/杉床苗の移植の方法
吉野林業全書に学ぶ(26)/移植後の杉床苗の除草と施肥