超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
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2023.1.19

■「吉野林業と優良材」に学ぶ (63) 
造林適地

―江戸時代における育林技術-

 

「広益国産考」では一般的な杉の植栽適地として地形、土性、気象の条件をあげている。すなわち「杉は平面の打ちひらきたる所は宜しからず。又砂地石多き地、乾き地の芝田なども又宜しからず。」と述べ、地形上平坦地、また砂礫地、乾燥地なども適さないとしている。

気象条件としては、「暖国より寒国の方宜し、暖国にても山ふかき陰地の北をうけ湿ふかき地には随分よく生立もの也」としている。

さらに「朝露ふかき立覆う地ならばかならず生育宜し」として、総合的な造林適地としては「深山の谷深く流れなだれの地の日中二時か三時が間日あたりよく、其余は日陰にて雑木あり、土は始終しめやかにして谷底辺は水草(箱根にてやねぐさともいえり)ひあふぎの葉(※1)に似たる草多く生立ち、しんしんとしたる所宜し」と述べている。

つまり大蔵永常の指摘する造林適地とは、霧深く谷川の入り組んだ深い山奥で、適度の湿度と低い寒気を帯びた気温の湿潤な傾斜地を考えているわけである。

※1アヤメ科アヤメ属の多年草。葉は長く扇状に広がり、宮廷人が持つ檜扇に似ていることから命名されたとされる。

 

撮影:辻本 勝彦

川上村の吉野林業と土倉庄三郎

 

参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」

 

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川上村は急峻な谷間の村で、霧にもよく出会います。ここに書かれた通りの造林適地であることには間違いありません。

山いきさんからは、濃い霧で杉・桧がミストシャワーを浴びているようなものだから良材になるなんてことも聞いたこともありますが、こういった地形や気象条件、さらには土壌や育林方法など全ての要素が絡み合い、美しい吉野杉・吉野桧を生み出すものと思われます。


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