超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
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2020.12.5

■「吉野林業全書」に学ぶ (68) 
杉柾板の木取りと板製造方法

杉柾板は、樹齢200年以上の「完満通直」な材で木目が揃って、なおかつ、材色が紅色を帯びたもので製作したものが最上品である。

この柾板の木取り法は以下の通り。

(七尺廻り)
周長約210㎝
六寸ないし七寸幅(約18~21㎝)のものを取る。

(九尺廻り)
周長約270㎝
六、七寸(約18~21㎝)もしくは九寸幅(約27㎝)のものを取る。

(一丈二尺廻り)
周長約3,600㎝
八寸(約24㎝)以上、一尺二寸幅(約36㎝)のものを取る。中には最大幅が一尺幅(約30㎝)以下のものもある。

(一丈五尺廻り)
周長約4,500㎝
一尺二寸(約36㎝)以上、一尺四寸幅(約42㎝)のものを取る。中には最大幅が一尺幅(約30㎝)以下のものもある。

その他はこれに準じて取る。もっとも一丈二尺廻り以上の木からは、一尺一寸幅以上の上等品を得ることができるが、それ以下の木では、中等品以下、もしくはそれ以下を得るに止まる。

この柾板の多くは上等の「天井板」(暑さ三分五厘=約1.05㎝)、または障子の腰板、腰壁、箱などに用いられる。

この柾板を取った辺材は、厚さ四分(約1.2㎝)の平目(板目)に挽いて、幅八寸(約24㎝)以上、一尺二寸(約36㎝)のものを取ることができる。これを「※杢板(もくいた)」といって、天井板、戸板、障子の腰板、腰壁などに用いられる。

そして、その残りの末木は並板に挽く。厚さ四分(約1.2㎝)で一尺一寸幅(約33㎝)以上の「※耳摺り」のものであれば、中等の天井板として多く使われる。

その他の細木は、丸挽きといって、幅に関係なく、厚さ四分、五分(約1.2~1.5㎝)から七、八分(約2.1~2.4㎝)とその材に応じてこれを挽く。これらの四分板は下等の天井板、五分板は壁板や箱、七分板は壺板ともいう敷板、八分板は屋根板などに多く使用される。

※杢板:材木の断面に年輪、繊維、導管、ズイ線などの配列が、美しい模様をつくって表れている木目の板。

※耳摺り:板の両端に残っている原材の丸身を取り除いた材のこと。丸身を残したものは「耳付き」。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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解説はあくまで手法であって、その大きさがあれば、全てが最高級吉野杉の柾板が取れるわけでもなく、割ってみなければわからないギャンブル的な世界です。

しかも、上等、中等、下等と余すことなく、効率的に製材される解説ですが、今現在、それぞれにしっかり需要があって、お金に変わっていっているかといえば、上等品でさえ、狭きニッチな世界かもしれません。

川下(販路開拓)の役割として、広い視野で様々な需要に向けて検討を進めています。時間はいくらあっても足りません。


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