超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.11.28

■「吉野林業全書」に学ぶ (67) 
杉木香の取り方とその効用

木香は杉の木質が最良で、淡紅色または紅色、赤色のものから取るのが良い。

よって、酒榑、桶を製造する際の削った鉋屑や、杉の切り株などから取れるものをよく乾燥して、ふご(竹やワラで編んだ容器)に入れ囲っておいて使用する。

その使用方法は、酒桶の古いものをよく洗い乾燥し水気を取った上で、木香を入れて蓋をする。その桶は厚紙で隙間を張り詰めて(張り込みともいう)そのままにしておく。

三週間ほど経過したところでこの蓋を開き、木香を取り出して掃除をしたところに酒を入れる。このようなやり方をしたものは、吉野杉上等品の新桶で造った酒とほとんど変わらないものができる。大変簡単な方法であるので効果は絶大と言わざるを得ない。

吉野杉の木香は、苦味、渋味、甘味、辛味の四つを含有するものであるから、これを酒に混ぜれば、その味を芳醇にすることは間違いない。先年、兵庫県で勧業会が開催された際、会長の伊藤亀之助君から木香試験の成績報告があり、その効用は広く世間に知れ渡ったのである。

【備考】
地方へ出荷する木香は、杉の伐り株の根を掘り出し、白皮や腐った部分を削り取った色の良いものを十分に乾燥して、ふごに入れて口は縄でふさいで運ぶ。

運んだ先ではこの株根を鉋で削り、その鉋屑を前述のように使用すればよい。

土佐国(高知県)では20年生くらいの杉の伐根で、赤身に油気が満ちた時にこれを堀り出し鉋で削り、長さ二尺くらい(約60㎝)にして出荷している。これを竹の棒ではさんでそのまま醸造中の酒に入れておくということである。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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昭和の初めころから杉の酒仕込桶が減少するに伴って、木香の香りはかえって邪魔だといわれるようになり、忘れられたようになくなっていったとのことです。

確かに杉や桧の鉋屑は良い香りですが、加減もあれば昔と今の香りに対する感覚も変わっているとは思います。

すいません・・・日本酒をやらないので、いい加減なことは言えませんが・・・。もとより、杉と桧の香りに囲まれて鼻が慣れてしまい、あまり香りが分からないです。


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