超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2022.6.5
■「吉野林業と優良材」に学ぶ (43)
吉野材の材質と諸性質④
吉野川流域産100年生以下のスギ一番玉について、長さ3mと4mの末口直径14㎝以上の材を調査した結果が添付の表20のとおりである。
3m材の平均年輪巾は年輪数20~29で3.5㎜(標準偏差0.5㎜)、40~49で1.9㎜(標準偏差0.3㎜)、58~89では1.4㎜(標準偏差0.5㎜)である。
同じく4m材の場合は年輪数20~29で4.5㎜(標準偏差0.7㎜)、40~49で2.7㎜(標準偏差0.4㎜)、58~89では2.1㎜(標準偏差0.5㎜)で先の調査結果(吉野材の材質と諸性質③に添付した表)に近い数値を示した。
また吉野材の形質と価格の関係について調査した結果が表21であり、スギ素材の齢階毎の平均年輪巾が示されている。
※標準偏差:データや確率変数の、平均値からの散らばり具合(ばらつき)を表す指標の一つ
撮影:辻本 勝彦
参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」
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年を重ねる毎に成長が遅くなり、年輪巾が小さくなっていくのは当たり前のことですが、0.1㎜でも細かく美しい優秀な数値を示すのは、密植や間伐に係る人の手によるものだということも忘れてはなりません。
しかしながら、木との共存から遠ざかってしまった現代において、年輪巾が小さいから優れていて美しいものだと、多くの人々に共感されることではなくなっています。とてつもなく長い年月と、人々の努力によって生まれるものであるといったバックストーリーの発信にも努めなければ魅力を伝えることができません。