超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
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2022.3.19

■「吉野林業と優良材」に学ぶ (32) 
吉野林業と優良材の形成⑤

-優良材の形成と育林技術-

吉野林業は高品質で商品価値の高い木材を育成することを目標にしており、育林技術はそれに対応して植栽段階から下刈り、木起し、枝打ち、間伐に至るまで一般林業地とは比較にならないぐらい極めて集約的な施業が行われている。

江戸時代から大正期にかけて生産目標にされた樽丸用材の場合。利用目的から年輪巾の細かなもので酒の浸透が少なく、かつ色合いの美しい、丸に割って割れやすい材質でないと樽丸用材として適当でないとされていた。

そこで、そうした要求を充たすため、実生苗を密植して成長を抑制し、さらに頻度の高い弱度の間伐を行ってできるだけ成長中庸木を残し、年輪巾を小さく均一に形成させる施業を行った。そして樽丸が取りやすい径級となる80~120年を伐期として育成した。

そうした樽丸用材の生産は、酒瓶が出回るようになった昭和初期まで継続された。俗に樽丸林業と呼ばれた江戸~大正期においては、それが吉野林業の施業方式であった。

撮影:辻本 勝彦

川上村の吉野林業と土倉庄三郎

 

参照:「吉野林業と優良材 (岩水豊 著)」

 

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これがまさに土倉庄三郎の「吉野林業全書」によって体系化された吉野式造林法であり、500年の吉野林業の歴史の中で、まだまだ右肩上がりに成長を遂げる最盛期のお話です。

収支計算が成立する生産目標として、80~120年後の木材の品質を人の手で作り出すというとてつもない話でもあります。


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