超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.6.13

■「吉野林業全書」に学ぶ (12) 
杉・桧種子採取の用具 ①

種子採取に際しては、一本梯子(むかで梯子)を使って木に登るのであるが、高すぎる木には綱を使う。

まず放り綱(細い綱)を下から2番目か3番目の枝に投げかける。

放り綱には石が結び付けてあって、枝に投げ掛けて石の重みで綱が下がったところに、太綱を結び付けて放り綱を引くと、太綱だけが枝に掛かった状態となる。

枝に掛かった太綱の両端を、その木の根に括り付ければ綱梯子のようになり、両手で太綱を持ってよじ登り枝に乗り移るのである。

その際、一番下の枝に掛けてしまうと、種子採取のできる枝に乗り移れないことに注意しなければならない。

枝に乗り移った後は、ナタか鎌で種房(イガ)のついている枝先を切り落とすのである。

枝を切り落とす時には木に害を与えないように、枝の根元から切らずに、葉のある枝を残しておかなければならない。
川上村の吉野林業と土倉庄三郎
【手綱の補足】
枝が高くて梯子が使えない場合には手綱が二本必要である。

一本は放り綱で、長さ十五、六間 (30メートル弱)、目方百匁(重さ400グラム弱)の綱で、片端に三十匁位(100グラム位)の小石をくくり付ける。

もう一本は太綱で、長さ十五、六間(30メートル弱)、目方一貫四、五百匁(重さ約5.5キログラム)の綱。

この二本を上記の解説の様に使う。
川上村の吉野林業と土倉庄三郎
参照:「吉野林業全書」

 

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図や文章では簡単に説明していますが、高所作業で危険もいっぱいです。さらに川上村の施業地の地形は「急峻」なところばかりです。

始まりから命がけな育林に対する対価は、安すぎる原木流通価格に含まれていません。

再度確認にはなりますが、吉野では樹齢100年生前後の原木を中心に取引されており、「吉野林業全書」の解説は昔話ではなく現在流通する原木の生い立ちなのです。


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