超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
- HOME
- >
- 超現代語訳 川上村の吉野林業を学ぶ
2019.12.3
■「川上村史 通史編」に学ぶ (1)
古代の吉野地方
吉野林業のはじまりとされる中世以前、巨大な寺院等の木造建築物を建立しはじめた大和朝廷(4~7世紀)の時代に、日本で最初の大規模な木材需要が発生しました。
ただ当時に、吉野林業地帯に大きな木材需要があった証拠がほとんどありません。
令和の時代になって話題の「万葉集」に
「斐太人の真木流すとふ丹生の河言はかよへど船そ通はぬ(巻7)」
と詠われており、吉野川支流の丹生川流域で木材生産があったことを推測させる程度のものがあるくらいです。
吉野には古くから離宮が置かれたり、「大峰山の地下は黄金の浄土である」といった黄金伝承も存在し、神聖な場所であるとされていたことが、大規模な伐出を困難にしていたようなのです。
ただ、古代に木材生産が盛んであった場所が、有名林業地になったところはなく、耕地化、荘園化されたり、場所によっては禿山になるケースもあったそうで、そういった森林の乱開発を免れたことが、中世に豊富な森林資源を引き継ぐことができたともみることができるようです。
参照:「川上村史 通史編」林業経済編第一章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本格的な人工造林である吉野林業のはじまりは、まだまだ先の時代になりますが、吉野が神聖な場所とされていたことが、現代の吉野林業に繋がるひとつの理由であるというところは、興味深い話です。令和時代の吉野林業の森も、凛として神聖な場所です。
|