超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.11.8

■「吉野林業全書」に学ぶ (60) 
樽丸製造の発端と製造方法 ②

丸丈(樽丸の長さ)一尺八寸に玉切りした丸太を大包丁(カシの木で使った大槌が必要でこの槌の両端の木口には鉄の輪をはめておく)で中心部を通して二つに割り、丸太の大小に応じて適当な数に小割をする。

小割をしたものは割り削りといって、二人一組で一人が割り、もう一人が削る。

割り人は割包丁で木の大小によって、幅三寸から五、六寸(約9㎝~18㎝)、厚みは最初に一寸(約3㎝)ずつに割り、あとからこれを二つに割って一枚の厚みを五分(約1.5㎝)とする。

削り人は内側、外側ともセン(両端をにぎれる削り包丁)で削る。そしてこれを一枚ずつ四角の枠(井桁)のように高く積み重ねて乾燥させる。

この樽丸を割った外側の白いところは木皮(コワ)と言って、薄いものはこれで白丸(砂糖桶などに使う)を造り、厚いものは樽の蓋(フタ)にする。木皮は厚みを区別して樽丸と同様に乾燥させるが、横積みに乾燥させる場合もある。

【備考】
杉は立木のまま樽丸の見積りをするのが通常であるが、稀に二間丸太を筏に編んだものを見積もることがある。(見積方法の記述は、当時の分量単位を用いた複雑な内容のため割愛します。)

樽丸製造を行っても利益を見込めないものは、貫(ぬき)に加工したり、丸太のまま家屋の建築用材としたり、酒桶類、板類、襖、額縁等、他の適当な用材に使うほうが得策である。

この二間丸太について、前後七寸(約21㎝)ずつ切り取ったものは、柾目に割って削り蒲鉾(かまぼこ)板に使用する。蒲鉾板は長さ七寸(約21㎝)、幅二寸(約6㎝)、厚み五分(約1.5㎝)で、杉の切り株からも製造する。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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蒲鉾板の話は聞いたことがありましたが、メインの用途の端材から派生する生産ですから、今となっては製造しているのをほとんど聞きません。

吉野で有名な「らんちゅう」や「天削」などの割箸も、木皮の出る製材がかなり減っていますから、木皮も取り合いのような状況ですね。「一合枡」の材料も柱や鴨居といった建築材料の端を利用しています。

木材利用の減少は、こういった無駄なく木を使うというところから生まれている伝統的な産業にも影響を与えています。


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