超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.10.3

■「吉野林業全書」に学ぶ (49) 
杉材の木質種類とその用途 ①

【淡紅木(べに)】
温度・土質・栽培の3つが揃ってこそ成育するもので、木目が美しく揃い、白皮(俗に痩せと言う)が薄く淡紅色の最高級品である。酒造家に多く使われ一般の需要も多く、したがって高値で取引される。

【赤色木(あか)】
土地の如何に関わらず赤色で、木目が良いものは淡紅木に次ぐ上等品である。これの多くは板として販路が広い。

【絞木(絞丸太・しぼ)】
木目が良く通り表面はシデの木の肌のように美しい。これは天然の性質で外部は極めて美しく、長さが二間から二間半、末口三寸から五、六寸のものは柱として使用される。

【真割木(しんわれ)】
土質や木目の如何に関わらずその芯にひび割れができるのは、その土地が乾燥していたためだが木目は良い。この中で赤色木に次ぐものとして挽き割り用に使われる。

【黒木(くろ)】
その土地に湿気が多く、常に幹に水分が多いから渋が多い。これは木目が粗く、橋や屋根板等に使われる。この黒木の渋を取るには、立木のまま根元に十文字の穴を開け、1年ほどそのままにしておくと渋気が薄くなるものである。

【白焼木(しらやけ)】
木目の如何に関わらず白っぽいもので、土質による影響や木が数百年を経て、その木の最盛期を過ぎてしまったために起こることがある。また、これは後に芯腐れとなる可能性がある。この木は需要が少なく下等品である。

【赤黒焼木(あかくろやけ)】
地床に岩石が多く水気が少ないため、自然に障害を受け成育不良により赤黒くなったものである。後にしゃり木(蜂腐れ)になる可能性がある。この木は樽丸製造には不向きで下等品である。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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銘木という言葉がありますが、人の手で育てた吉野杉とはいえ自然の産物で、このように木口で判断できるだけでも様々な表情を見せますので、全ての吉野杉が銘木なわけがありません。

ここで解説されている淡紅木も、製材してみないと銘木になりうるかはわかりません。半割にしてみて、ピッと、葉節があったなら一気に価値は下がる世界です。

極端ですが、「吉野杉・吉野桧はすべてが銘木級のすばらしい材料だ!」に似たような説明も聞きますが・・・それはないですね。


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