超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.7.26

■「吉野林業全書」に学ぶ (25) 
杉床苗の移植の方法

杉苗の床替えについては、予め準備した畑をよく耕し、畑の広さにもよるが約1.5m幅の畝(うね)を作り一畝ごとに30㎝幅の通路を付ける。

鍬で適当に横筋を付け、ここに優秀な大苗を一畝にだいたい10本ずつ約15㎝間隔に直立して並べる。そして、横筋を付ける際にできた小高い土を苗木の根に寄せ掛け、鍬で軽く押さえておく。

次の筋は15㎝ほど隔てたところに付けて、また掘り上げた土を苗根に寄せ掛け鍬で均す。この繰り返しで一畝歩(≒100㎡≒1アール)の畑に3,600本の苗を植えることができる。

小苗については一筋に対して50本ずつ並べる。また、横筋の間隔は10㎝弱とすることで、同様の面積の畑に3万本から4万本を植え付けることができる。

ただ、この小苗は翌春になっても山行き苗になる見込みがないため、さらにもう一度他の畑に移植する必要がある。その際は優良苗(大苗)と同じ方法とする。逆に育ちが悪かった大苗は小苗として移植する。

こうやって移植を終えた苗畑には松の葉を播いておく。松葉は雑草の蔓延を防ぎ、炎暑をしのぎ多少は肥料としての効果がある。

桧苗の床替えは杉苗と同様ではあるが、杉苗より1年長く苗畑に置く。

また、前年に使用した苗畑での連作は、俗にイヤ地といってよろしくない。止むを得ない場合はその畑地を一層深く耕すことで差支えはない。
川上村の吉野林業と土倉庄三郎
参照:「吉野林業全書」

 

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吉野林業においては、1ヘクタール(100m×100m)に対して、10,000本から12,000本の苗を植える「密植」を行います。(他産地では同面積に2,000本~3,000本)

この移植の解説においても相当数の苗になっていますが、「密植」となると説明のつく数だと思います。

密植の起源は諸説ありますが、「吉野林業全書」においては「密植」を行う理由がバシッと記述されていますので、そこでまた理解を深めたいと思います。


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