超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

  • HOME
  • >
  • 超現代語訳 川上村の吉野林業を学ぶ

2020.11.23

■「吉野林業全書」に学ぶ (65) 
杉のそぎ板製造の方法

杉のそぎ板(屋根葺き用の板)は、樹齢80年~100年の木から製造したものが最上等品である。これは杉の木を伐り倒し、直ちに製造するもので、その方法は次の通りである。

(一) 長さ八寸ないし一尺(約24~30㎝)、一尺一寸(約33㎝)等、その需要に応じて材を切り、木口から十文字(蜜柑割りという)に包丁をはめ、手頃な槌で打ち込んで四つ割りにする。

そして芯の節のある部分と木皮の白い部分は捨て、赤い部分だけを取り、幅の狭いものは二、三寸ないし五、六寸(約6~18㎝)、広いもので七、八寸ないし一尺余り(約21㎝~30㎝)として、厚さは長さ八寸(約24㎝)のものは九分(約2.7㎝)を十六枚、長さ一尺(約30㎝)のものは一寸(約3㎝)を十六枚、長さ一尺一寸(約33㎝)のもので一寸二分(約3.6㎝)を十六枚に、いずれも薄い包丁で柾目に削ぎ割る。

削ぎ割る方法は、木口の柾目に薄い包丁で割り目を入れて、はしご形につくった幅一寸ないし一寸二、三分(約3~3.9㎝)のところへこれをはめて、一方に厚薄(凹凸)ができないように表裏両面からこじ割る。

ただし、小木の下等品は、赤白の区別なく節のない部分全体を用いることがある。

(二) 乃根(裏板のこと)は、長さ三尺(約90㎝)、幅適当で、厚さ一寸(約3㎝)のものを十枚にそぎ割ったのもである。ただし、上等品は柾目に割るが、中等品以下は柾目、板目の区別に関係なく割ったものである。

(三) カヨイ板は幅五寸(約15㎝)、厚さ八分(約2.4㎝)として、長さは屋根によって決める。

(四) ハナ板は長さ一尺(約30㎝)、幅四、五寸(約12~15㎝)、厚さ七分(約2.1㎝)とするが、極上等の屋根には長さ七寸(約21㎝)、幅一寸(約3㎝)、厚さ二分(約0.6㎝)のものを用いる。

これらのそぎ板及びその他は、いずれも屋根用として用いられる。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

板葺き屋根用のそぎ板が、長さ約一尺、幅二寸~六寸、厚さ約一寸となっていますが、杮(こけら)板は長さ、幅は全く同じで、厚さが一分(約3㎜)となります。

削ぎ板葺きの屋根が再び普及することはないでしょうが、杮(こけら)板については、吉野杉がより多く使われていってほしいと思います。

ちょっとした色合いの悪さや、目の通り方で、大きく値崩れする銘木需要にあって、杮(こけら)板は屋根材であるので、赤身で木目が詰まっていれば良いため、歩留まりも補完し合うことができます


最新の記事

アーカイブ

  •  

    • 2023 (31)
    • 2022 (56)
    • 2021 (98)
    • 2020 (73)
  • ≪■「吉野林業全書」に学ぶ (6...

    ≫■「吉野林業全書」に学ぶ (6...

    最新の記事

    アーカイブ

  •  

    • 2023 (31)
    • 2022 (56)
    • 2021 (98)
    • 2020 (73)
  • ページトップへ