超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.11.2

■「吉野林業全書」に学ぶ (58) 
杉の洗丸太製造とその用途 ②

洗丸太は伐期を秋季とするが、春季にも行うことがある。春季の洗丸太製造には二通りの方法がある。

一つは、春季の伐採前に洗丸太に適するものを選木し、新肉ができた時に伐採する。そして皮付きのまま鋸で適寸に挽き切り、川辺で皮をはいで細砂を塗り、棕櫚(シュロ)の皮で摩擦して洗い木口を処理した後は、すぐに筏に積んで運送する。

もう一つは、春季間伐の丸太を小切る際にその中から洗丸太に適するものを選び、長さ一丈から二間(約3mから約3.6m)、長いものは四、五間(約7.2mから約9m)に挽き切り、これを一般の間伐材に先立って川辺に運搬する。

その洗い方、仕立て方は、冬季仕立ての場合と全く同じである。これを納屋に入れて秋季まで保管しておき、冬季の洗丸太の輸送に先立って(荷造りも冬季のものと同じとする)運送する。

しかしながら、この春季洗丸太は建築に使用すると赤色に変わり、見苦しくなるから上等用材は少ない。

そのためこれらの用途は、長さ一丈から二間(約3mから約3.6m)、もしくは二間半(約4.5m)で、末口直径三寸から四寸五分(約9㎝から約13.5㎝)のものは、家屋の柱に用いられ、長さ三間から五間(約5.4mから9m)で、末口直径四寸から五寸(約12㎝から約15㎝)のものは家屋の梁桁に用いられる。

【備考】
この洗丸太を家屋に使用する場合、より美しい光沢を発生させたいならば、糖袋(当時の砂糖保存用袋)で摩擦するとすこぶる美しいものとなる。

伐採地が遠隔の場合は、運搬費節約のため川辺に運ぶ前の小切りの際に皮をはぐこともある。

この洗丸太の発端も寛文年間(1661年~1672年)とされている。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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人工乾燥技術の発達で木材の安定供給は可能になっていますが、KD材の色味に慣れてしまって、木の本来の美しい色合いは忘れられてしまっているかもしれませんね。

柱や梁桁も大壁仕様で隠れてしまいますし、表面塗装や不燃処理なしの無垢のまま使う内装材も、ほぼほぼなくなってしまっていますから当然の流れなのでしょうが。

ただ、弊社の吉野プレミアムシートのような製品では原材料の準備に、この解説にあるような季節感を取り入れています。時代は変わっても先人たちの知恵は大切にしていきたいと思います。


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