超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.9.26

■「吉野林業全書」に学ぶ (46) 
杉・桧間伐の方法 ③

杉は十一番間伐から十三間伐(植付け後70年~100年の間伐)まで実施する。その季節については、丸太用材は春彼岸(3月20日頃)後30~40日の間に伐るが、樽丸または酒樽、板類用にするものは夏の土用の間に伐る方が良い。

桧は大小に関わらず夏土用後の30日以内に伐採する。

伐り方は杉・桧とも大鋸で根元の追い口(木を伐り倒す反対の方向)から挽き、この挽き目にカシの木の矢をはめて槌で打ち込み、受け口から大斧で伐るのであるが、都合によっては綱を使ってその木を傾斜面に沿って倒し皮を剥く。

この杉皮について、上等は6尺5寸(約2m)、下等は5尺(約1.5m)に切りそれぞれの用途に充てる。

杉は伐採の時、木の枝葉を切り払わないで乾かし3ヶ月以上はそのままにしておく。

ただ、桧は杉と同じように乾かすとヒビ割れが入るので、伐採した時にすぐ挽き切りと節打ちをすることが重要である。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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「木を斜面に沿って倒し~木の枝葉を切り払わないで乾かし」の部分は、「葉枯らし乾燥」のことですが、木材の水分を葉から蒸散させる方法です。

現代では人工乾燥も発達し、必要ない工程に思われるかもしれませんが、ヘリコプター集材が中心の吉野では水分を抜かない生木ではとても重たくて、出材効率が悪いなんて理由もあります。

また、何といっても芯材(赤身部分)は伐採後すぐに真っ黒に変色しますが、葉枯らし乾燥によってこの渋が抜かれ、吉野杉の美しい淡紅色が生み出されるという役割もあります。

ただここ最近、夏の土用あたりがとんでもない酷暑であることが多く、その暑さも考慮しなければ蒸散作用に必要な枝葉がすぐに枯れてしまうようなことも起きています。

長雨や酷暑で作物が育たない、海水温が高すぎてサンマが捕れないといったことと同じようなことが起こっているのです。


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