超現代語訳

川上村の吉野林業を学ぶ

これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。

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2020.9.12

■「吉野林業全書」に学ぶ (40) 
山林保護の方法/山役金(山年貢)について ① (借地林業制度と山守制度)

杉・桧の人工造林の最も恐るべきものは暴風と豪雪と火災の三つであるが、その内の最大は火災である。全国どこでも火災は恐れられている。対策が良ければ無事に済むのであるが、なかなか良い方法はなく大損害をのがれることは容易ではない。

ところが、私の村(奈良県川上村)では、広大な山林の7~8割まで杉・桧の人工造林であるが、実に火災は少なく大火がない。

その理由は何かと言えば、「借地林業制度」が普及し、山役金(山年貢、後払い地代)の制度があることに他ならない。

山役金とは、立木の間伐と皆伐の売上代金の2%~5%を立木の持主が地主に支払うもので、川上村東川の検査所が筏一床ごとに検査し徴収している。つまり、村内の立木が売られるごとに村民の共有基本財産が増えていく。

山役金は個人が自由にできるものではないが、運営の良い村や区は一年間の村費や区費をまかなえるまでとなり、税金を払う必要がなく配当金さえ受け取る家も多い。

また、川路浚渫(しゅんせつ)費(川底の整備や清掃)、道路改修費、教育費等の補助に支出され、村民の負担をなくし剰余金を基本財産として積み立てる。

(そういったことから、山での災害は村民にとっては大損失に繋がるため山林保護に努める。)

よって、吉野地方では杉・桧山林の第一保護者は誰かというと、これは持主の人間ではなく山役金制度である。

また、山役金制度とは防火についての村民の真剣さである。

川上村の吉野林業と土倉庄三郎


参照:「吉野林業全書」

 

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「吉野林業全書」においては、「借地林業制度」や「山守制度」についてその知識ありきの解説になっており、制度から生まれた山林保護の考え方の記述となっています。

そのため、原文ではなかなか読解が難しいので文章構成を少し変えています。

制度については吉野林業の大きな特徴でもありますので、また別の機会に深堀りしようと思います。


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