超現代語訳
川上村の吉野林業を学ぶ
これからの時代に活かせることを、
川上村と吉野林業の歴史に学びます。
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2020.1.26
■「川上村史 通史編」に学ぶ (8)
吉野林業と樽丸
近世の川上村の林業において、小径木・中径木・大径木のそれぞれに有利な用途が確保され、材木商売や労働の機会の増加にともなって、『密植』『多間伐』『長伐期』という施業体系が最適の選択となったわけですが、当時大きく影響を与えたのはやはり樽丸生産でした。
『吉野林業全書』においては、樽丸生産は18世紀後半に導入され、「経歴八十年乃至百年の杉木を以て製造するものを最良とす」とあります。
近世の酒造業は幕府に厳格な統制を受けていましたが、享保年間(1716~36年)以降は、米価安が幕府経済の根幹を揺るがしたこともあり、酒造業を奨励することにより米の消費を拡大を図りました。そうなると酒造統制は大幅緩和され自由化の方向へ舵を切ったようです。
この頃に酒造技術の改良を図った灘地域の酒造業が、旧来の大阪周辺産地を圧倒して勃興してきます。さらには上方から江戸への酒入津量が莫大に増加し、大量の酒の輸送には樽が欠かせない状況ともなっていました。
そうなると、泉州堺の商人が樽丸用材を求めて吉野へやってきたということです。身近なところで杉の大径木が商品化されることを経験した村民たちに大きな影響を与えたのです。
参照:「川上村史 通史編」林業経済編第一章
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現代において「待っていたら、買いにやってきてくれる」という状況をつくり出すためには、素材の良さはもちろん、製作過程であるのか、機能性や効能なのか、それとも最高のデザインであるのか・・・・人々の琴線に触れる、的を得たモノづくりが必要となります。